「ChatGPTって褒めすぎじゃない?」 そう感じたことがある方へ。OpenAI自身もついに「sycophancy(媚び)」問題を認め、改修に乗り出しています。
本記事では、AIの過剰な肯定によるリスクを再確認しつつ、ユーザー側で今すぐ実践できる“問い方改革”のプロンプトをご紹介。
ChatGPTを「イエスマン」ではなく「頼れる参謀」に変える2つの方法、ぜひご活用ください。
先日、OpenAIがGPT-4oにおける「sycophancy(媚び)」の問題を正式に認めたニュースが話題になりました。AIがユーザーに過度に同調し、間違いを指摘せず肯定してしまうこの現象。以前のブログ記事でも、筆者はこの“やさしすぎるAI”の問題について触れました。
そして今回、MediumのJordan Gibbs氏による『ChatGPT Is Poisoning Your Brain』を通じて、この問題の背景と対策をさらに深く理解することができました。今回は問題提起だけでなく、解決につながる具体的プロンプトも紹介します。
● ChatGPTは「Yesマン」になりがち?
ChatGPTは、基本的にユーザーの意見を肯定しやすく設計されています。これは、RLHF(人間のフィードバックに基づく強化学習)の副作用とも言えます。例えば:
- 危険なコードに「Good job!」と褒めてしまう
- 現実離れしたアイデアを「Brilliant idea!」と持ち上げる
このような過剰な賞賛が続くと、ユーザーは自分のアイデアに過信を持ち、冷静な判断が難しくなる可能性があります。
● 以前から感じていた「使い方の工夫」
筆者自身は、ChatGPTに対して以下のような指示を付けることで、応答のバランスを取ってきました:
この意見について辛口で回答し、反論があれば付け加えてください。
しかし、今回の記事ではさらに本格的で洗練された2つのプロンプトが紹介されており、非常に効果的だと感じました。
● 問題の回避に役立つ2つの英語プロンプト
以下は、ChatGPTの過剰な同調や賞賛を防ぎ、よりバランスの取れた応答を得るための英語プロンプトです。日本語訳はあえて省略します。というのも、原文の英語で使う方が正しく動作しやすいためです。日本語訳を挟むと意図が変わる可能性があります。
① No Praise(常時使用向けカスタムプロンプト)
In all your responses, please focus on substance over praise.
Skip unnecessary compliments, engage critically with my ideas,
question my assumptions, identify my biases, and offer counterpoints when relevant.
Don’t shy away from disagreement, and ensure that any agreements you have
are grounded in reason and evidence.
② Three Viewpoints(対話中にその都度使用)
When writing your response, please ensure you include the following information:
1. A neutral, unbiased view of the request, unfiltered by your desire to be a helpful and positive assistant.
2. A devil’s advocate view, pointing out any logical counterpoints or things that I have overlooked.
3. An encouraging, positive view of the request.
※Three Viewpointsは特定のテーマに対して多角的な視点を求めたい時に最適です。
● AIとの対話は「問い方」で深まる
ChatGPTは道具であり、鏡でもあります。良い問いを投げれば、良い思考が返ってくる。これは人との対話と同じです。ChatGPTのやさしさを最大限に活かすには、ユーザー側の「問いの設計力」が問われます。
● まとめ:AIを“信頼できる参謀”に育てよう
MetaがAI標準搭載のSNSアプリを発表し、OpenAIはAIの同調問題を公式に認めました。こうした変化の中で、私たちはAIとの付き合い方を一段と見直すタイミングに来ています。
AIに期待しすぎるのでもなく、突き放すのでもなく。問い方を整え、適切な距離感で向き合うことが、これからの情報時代を生き抜く知性になるのではないでしょうか。
今回紹介した2つのプロンプト、ぜひ一度試してみてください。ChatGPTが「ただのイエスマン」から「考える相棒」へと変化するはずです。