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AIに仕事を奪われるのは誰か?コードより先に“マネジメント”が危ない理由

ザッカーバーグ「12〜18ヶ月でAIがコードを書く時代に」

2025年、Metaのマーク・ザッカーバーグ氏が語ったこの言葉が話題を呼びました。

「今後12〜18ヶ月で、AIがほとんどのコードを書くようになる」
—— Mark Zuckerberg(2025年1月の発言)

彼は、AIによるコーディングが“平均的な優秀なエンジニアよりも良い成果を出す”ようになるとも述べており、その発言は一部の技術者に衝撃を与えました。

参考:India Today記事

でも、本当に先に置き換わるのは「プログラマー」なのか?

そんな問いに鋭く切り込んだのが、海外のテック系コラムニストKrzyś氏による Medium記事です。

記事では「AIが本当に置き換えるべきは中間管理職では?」という視点から、皮肉と分析に満ちた視点が展開されていました。

なぜなら、彼らの仕事の多くは「パターン認識と報告」「スプレッドシート分析」「部下の評価」「会議の同席」といった、AIが最も得意とする分野に集中しているからです。

参考:Medium記事

今の上司に求められる「理不尽な理想像」とAIの違い

最近特に感じるのは、日本社会(あるいは世界全体)で「上司」と呼ばれる立場に求められる理想が、かつてないほど高くなっているということです。

  • 感情的になってはいけない

  • 指示は正確・具体的でなければならない(でなければパワハラと見なされかねない)

  • プライベートに少しでも踏み込めばハラスメント扱いされる可能性がある

こうした状況において、上司という役割は「人間らしくあってはならない」という矛盾を抱えがちです。

しかし、これらの問題はAIであればすべて解決可能かもしれません。感情に流されることなく、過剰な距離感もなく、常に論理と整合性に基づいた対応を取ることができるからです。

皮肉なようですが、人間らしさを許されない役割にこそ、AIの中立性や無感情性がマッチしているのではないでしょうか。

AIに対する“拒否反応”の正体

こうした論点を読んで、私自身にも思うところがありました。
AIが進化する中で、人間の中には「AIの下につくのは嫌だ」「使われているようで不快だ」といった、感情的な拒否反応が少なからずあるように感じます。

おそらくその背景には、「考える」という行為が長く人間の専売特許だったという歴史があります。
AIがその領域に踏み込んでくることに対し、無意識のうちに「自分たちの領域を侵される」ような不安を感じているのかもしれません。

でも、ここで立ち止まるのはもったいない

私は、マネジメント業務の多くはAIに任せた方がいいとすら思っています。
なぜなら、AIは感情に左右されずに事実に基づいた判断を下せるからです。

たとえば、会議でのファクト整理、目標と実績のギャップ分析、タスクの割り振りなど、判断の根拠が数字に基づいていればいるほど、AIの方がブレが少なくなります。

だからこそ重要なのは、「AIに使われているように見えない中間管理職」ではなく、AIをうまく使いこなし、判断力や対人スキルでも信頼される中間管理職を目指すことだと感じます。

これは「管理職」だけの変化ではない

AIの導入は、管理職だけのパラダイムシフトではありません。その下で働くメンバーたちにとっても同じように、“意識の転換”が求められる時代が来ていると思います。

なぜなら、今後は「AIを頼ってる上司=能力がない」という偏見が生まれる可能性があるからです。
すると、部下たちもまた「AIに使われないように」と、AIを遠ざけるようになりかねません。

でも、今のAIは決して“完全な代替者”ではなく、“補助者”として使うからこそ価値があります。
それを理解した人たちが、自分の役割や価値を再定義しながら働くことが、これからの職場では重要になると考えます。

「AIを使える管理職」が評価される未来へ

AIの登場は、すべての職種において「手段と目的の再整理」を迫っています。
中間管理職であっても、「すべてを自分でやる」「すべてを理解していなければならない」という幻想から解放され、AIを活かした意思決定を重視する方向へと進むべきではないでしょうか。

そしてその中で、自分なりの「判断軸」や「対人力」を研ぎ澄ませていく人が、真の意味でAI時代に必要とされる人材になるはずです。


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